東京ノート 平田オリザ
東京の美術館の待合室。数組の人間がただ喋っているだけの戯曲。
カップル、学生、家族、仕事関係の人等。
とりとめの無い日常の会話が繰り返されている。
故郷で年老いた親を世話する話題だけが妙に印象に残る。
何気ない会話の断片から、ヨーロッパで戦争していて、それ故に絵画が日本に避難の為に持って来られている事が判る。
ページを縦に割って、何組かの人間が同時に喋ったりしている。
舞台を観ていないので、詳しくは判らないが、きっと劇場に居たら座る場所によって、聞こえる台詞も違うのだろう。
あとがきを読んで小津安二郎の映画をパロディーにしている事を知って、初めてどう読めばいいか理解出来た。
淡々と描かれた日常…として読むとリアルに作品としての奥行が読みとれる。
ヨーロッパで戦争起こってるのに、淡々と日常を過ごしている日本人の登場人物達の姿がリアルである。