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ガラスの動物園 テネシーウィリアムズ

ガラスの動物園 テネシーウィリアムズ

 母アマンダ…過去は良かったと思い込み、現状に不満があり、他人を自分の物差しで測りたがる。

姉ローラ…足が不自由で、引きこもり。タイトルであるガラスの動物園は、ローラが大切にしているガラス細工の動物達の置物から由来している。

弟トム…語り手。多分作者の分身。靴の倉庫で働いていて、作家を目指している。いつか家をそしてこの町から出ていきたいと思っている。

父親は居ない。

上記の3人が1930年代アメリカの安いアパートに住んでいる。

こんな閉塞感のある家で主人公のトムは、作家への夢を夢想し、工場の休憩中に詩作している。そんな時に、同僚のジムが家に訪ねて来る。

母はジムとローラをくっつけたがるが、更にローラは傷つく事になる。

 

戯曲を読んでこれほど判りやすく、まるで劇を観てるかの様にシーンが頭に浮かんだ事は初めてだった。

登場人物達がまさに、僕の家族の持つある一面を持ってるし、日本の40代ニートの家庭と似た部分があるような気がする。

母から他人と比べられた時の苦痛は、きっと誰しも感じた事があるだろう。

そして、トム同様、ここでは無い何処かに自分の本当の居場所があり、自分は何等かの才能があり、輝ける場所がある…とみんな思っている。(僕も思っていた)

ローラのあまりにも自己否定的な態度は、読者をイライラさせる。足が少し不自由な位、全然大丈夫だから一歩踏み出せ!…そんな風に見えているが、コンプレックスは当人しか判らない。

僕もきっと高槻の実家にずっといたらそうなっていただろう。