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『愛なき世界』三浦しをん

『愛なき世界』三浦しをん

 T大学の研究室で植物を研究する大学院生の女子と、彼女に恋する近所の定食屋の店員。2人の恋の行方が大きな話の軸になっているが。さほど大きな展開はない。大学の研究室にいる教授や他の研究者等、個性的な人物が魅力的に描かれている。

 植物とは?人間とは?生きるとは?愛とは?…植物を通して、哲学的なメッセージが垣間見える。

終盤近くに主人公が言う

「植物は光合成して生きていて、その植物を動物が食べ、またその動物を人間が食べる。結局植物も動物も人間も光を食べて生きている」